星に願いを

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   *** 「金、金、金っ!」 「なにやってんだ、お前は」 「なにって、ほらもうすぐだろ。獅子座流星群。だから練習だよ」 「獅子座流星群の練習って、なんだそれ」  後ろの席から聞こえてきた一見するとくだらないやりとりに俺はおもわず耳をそばだてた。 「ほら、流れ星に願い事をってやつだよ。さすがに流星群が降る夜だったら、チャンスアリ放題だと思わねえ?」  そういえば流星群って、一時間に何十個、多ければ百個とか流れる場合もあるんだっけ。  後ろの会話に参加はしなかったけど、俺は頭の中でそんなことを考える。 「だからって早口言葉練習するみたいにやったって、誠意の欠片もねえぞ」 「願い事に誠意って必要?」 「必要……じゃない…か?」  どっちなんだよ。  でもまあ、往々にして願い事ってのは、自分自身の強欲の塊みたいなもんなんだから、誠意とかとは縁遠いのかも。
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