星に願いを

「にしてもさあ、そもそも、あれってなんで三回言わないと叶わないんだろうな」
「さあ、なんだっけ。とっさに三回唱えられるくらいの必死な願い事なんだったらって、神様も、しゃーない、聞いてやろうかなあって思うからだとかなんだとか」
「でもあの一瞬に同じ言葉を三回って、結構至難の業だぞ」
「だから早口言葉の練習してんだろ」

　延々と話を続けている奴らの声を聞きながら、俺は思考を巡らせる。そしてこっそりスマホを取り出し、今年の獅子座流星群の情報を検索した。
　今年のピーク予想は今週末。
　一番多いのは明け方らしいけど、夜中もそれなりには流れるはず。
「よし、行くか！」
「……どした、竜久(たつひさ)」
　いきなり大声を上げて立ち上がった俺を見て、騒いでいた奴らがいっせいに目を丸くした。