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「勝手に人の心を読まないでほしいな」
私は彼女へ歩み寄る。
「いつまで食べるつもりかい」
「……眠くなるまで」
「CDを食べたら眠くなるの?」
「クラシックって、聞いてたら眠くなるもの」
「だったら『聞き』なよ」
私はCDコンポを彼女に差し出す。
彼女は少しだけ身を引く。
「耳からじゃダメなの。不安なの。口を通して、喉を介して、胃におさめないと……」
いやいやと子供のように首を振って。
「栄養にして、からだの一部になって、それでようやく安心できるの」
彼女は思いがけない力で私からコンポを奪い取ると、
ガジリと音を立てて噛みついた。
8代目のコンポが逝った瞬間だった。
そろそろCDという媒体にこだわるのも卒業した方がいいかもしれない。
私はわかりやすくため息をついた。
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