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「あのぉ…、私、やっぱり今回のお話、辞退させていただこうと思いまして。」
恐る恐る言えば矢の如く言葉が返ってくる。
「はあ?何言ってんの?自分からバイトの面接頼んどいてやっぱやめたとか常識的に考えてありえねぇだろが。」
と、上から発言が俺様を印象付けるものの、見た目は切れ長の目に黒髪短髪、クールなイケメンが私に捲し立てる。
初対面でそこまで言えるあなたの常識の方がどうかしてるんじゃ…とは面と向かっては言えないけど。
「観月、よしなさい。ごめんね、こいつ、単細胞だから気にしないで。で、辞退って…どういうことかな?」
と、目鼻立ちがハッキリとした顔立ちで全体的に色素の薄い感じが柔らかい印象を持たせるイケメン王子様が優しい笑顔で話すものの……
何故か有無を言わさぬ威圧感が半端ない。
「ほら、兄貴たち、いい加減にしなよ。せっかく良いカモが来たのにこれじゃあ、逃げちゃうじゃん?」
はっ?
カモ?
何言ってんの?
カモーンじゃないよね?
てかさ、
いやいやいや、君でしょ、カモは。
まるでカルガモの赤ちゃんのようにフワフワの癖っ毛をした愛らしい男子が私に向かって微笑んでいる。
天使かっ!
そんな天使のようなキミからどうしてカモが逃げちゃうなんて…この辺りに水辺なんてあったっけ?
それともーーー
「えぇっと…?カモ…ってもしかして、もしかすると鳥の方…じゃないですよね。」
と小さく羽ばたく振りをしてみるものの観月と呼ばれていた俺様に鼻で笑われ撃沈。
「こら、睦月、余計な事を言うんじゃありません。ごめんね、気にしないで。」
と、イケメン王子が爽やかな笑顔を貼り付けるものの…
やはり目が笑っていない…
いやいやいやいや、それより気にするよ。
めちゃ、気にするよ。
カモ呼ばわりされたら誰だって気にするじゃん?
一体、なんなのこの人たちは。
ああっ、わかった!
も、もしかして…オレオレ詐欺的な?
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