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いや、待てよ?違うか?
だって電話ならともかく今、目の前にいるんだしさすがにオレオレは通用しないでしょ?
じゃあ、あれか?
マルチな何かで私からお金巻き上げるとか?
私、自慢じゃないけど今、全く持ってないからね。
お金。
壺も宝石も買えませんからね。
あー、ダメだ。
偶然にも条件の合う良いところ見つかったと思って履歴書も持たずに行き当たりばったりで飛び込んでみたけれど、これは無理だね。
目の前のイケメン様達とお別れは残念だけど、どう考えてもこの状況はヤバイ。
早くこの場から立ち去ろう。これ以上いると危ない気がする。
良からぬ犯罪臭、プンプンだよ。
「ほんっと勝手言ってすいません。私やっぱりーーー」
と、椅子から立ち上がろうとしたら…
「名前は?」
「な、名前…ですか?」
「だから、な・ま・え、何?」
と、圧倒的な威圧感を持つイケメン王子がボールペンの先をこちらに真っ直ぐに向け聞いてくる。
刺されます?
その先っぽで眉間とか刺しちゃいます?
えっと…さっきはもう少し優しかった気がするんだけど…
まぁ、目は最初から一ミリも笑ってはなかったけど。
取り敢えず、威圧感に耐えかねて再び、椅子に座りながら答える。
「ほ、ほ、星、野……、 ぁああ、かりです。」
しどろもどろながらも何とか名前を告げる。
「そう、星野さんね。悪いけど、僕たちもやっとのことで、ここまで来たから。何とかこの店をオープンしたいんだよね。それには是非とも君のようなごく普通の人間の力を……」
「兄貴っ!」
「ゆづ兄!」
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