Ⅰ 三日月の夜に

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いや、マジで、聞こえたよ。 私、耳良いもん。 今、普通の人間の力とかって言ったよね? 聞き間違えじゃないよね? どういう意味? じゃあ、なに? この人達は普通じゃないの? 何者? て言うか… 急にめちゃくちゃ笑顔なんですけど目の前のイケメン様達が。 いやいやいやいや、この笑顔に流されちゃいけない。 ここはもう一度ガツンとお断りの意思を。 「私、やっぱり、辞退……」 「そうはいかない。こうなりゃ、意地でも君に働いて貰う。アルバイトとして星野さんを採用します!」 威圧感王子が言う。 「そ、そんなぁ。」 「ゆづ兄が決めたんじゃ、しょうがないね。諦めなよ。ゆづ兄がこの家のルールブックだからさ。ねっ?これからよろしくね。あかりちゃん!」 キラキラと眩しすぎる人懐っこい笑顔を振りまきながらカルガモ男子が言ってくる。しかも距離が近い。 「まっ、こうなったからにはもう諦めろ。お前が自分でそこの扉を開けたんだろ?アルバイトしたいって、しかもーーー住み込みでって。」
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