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じいさん「運命さんや、そんな慌ててどうする」
運命「私は私の役目をするだけです」
じいさん「それで若き少年の命を落とすのかね」
運命「それが仕事ですから」
じいさん「運命さんや、あなたは仕事をしたら消えてしまう」
運命「それが私の運命ですから」
じいさん「その運命は誰が決めたんだい」
運命「それは運命である私自身です」
じいさん「なら、あの少年にだって自分で運命を決める自由があるはずだ」
運命「では、私にどうしろと」
じいさん「だから焦りなさんな、あんたの決めたあの子の人生はもう決まっているのだから、それまで焦らずに見届けてやんなせぇ」
運命「でも決められた運命を届けるのが私の仕事…」
じいさん「仕事仕事言ってると身がもたないぞ、それに待つのも一つの仕事ですよ、運命さん」
運命「運命は待ってくれませんし、待ちませんよ」
じいさん「なら、わしと一杯交わしましょう、そしたら運命さんは動けませんから」
運命「な…神に一杯交わしましょうと言われて断れる運命はいませんよ」
じいさん「これなら運命さんが待つのではなく、少年に待ってもらうことになるから、バッチグーじゃ」
運命「そうですね。早かれ遅かれ役目を果たせば私の仕事は終わりですからね」
じいさん「少年よ、運命はすぐそこまで来ている。その前に自分で自分の自由な運命を決めるのだ」
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