プロローグ

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プロローグ

 俺の腕の中でサブマシンガンが震え、ぱぱぱぱぱ、というおなじみの銃声と共に吐き出された9x19mm弾が、しつこく俺たちを追ってきていたドローンを一体残らず撃ち落とす。ざまあ見ろ、だ。十六になったばかりの頃から一年ちょっと、毎日のように戦闘訓練を受けてきて、俺の射撃の腕は教官をも超えるほどになっていた。[研究所]の連中も、まさか自分(てめえ)らが仕込んだ技能を使って反撃されるとは、予想もしてなかっただろう。 「危ない、ヴァレンチン!」  叫び声よりも早く、太い腕が俺の襟首をつかんで後ろへ引く。間一髪、ついさっきまで俺が立っていた地面が爆発し、土が舞った。頭上のドローンに気をとられている間に、俺たちは無人戦車の射程距離に収められていたらしい。 「奴ら、攻撃してきたぞ! 俺たちを殺すつもりか」  マルクが心底驚いたような声をあげる。俺は奴の二の腕を殴って走るよう促し、 「殺しやしねーさ。俺たちは貴重な実験材料だからな。俺たちが死んだら二十年もかけた研究がパアだ」 と、自分も全力で駆け出した。  無人戦車の装甲に9ミリ弾は効かない。反撃より、ここは逃げの一手だ。 「だが……奴ら、撃ち始めた」     
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