いつものところで

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もちろんそれは、律の隣に座っている美沙紀に対しても同じだ。 「何か寂しいよねぇ、社会になんて出たくないわ。あー、ずっと学生でいたーい」 と、その美沙紀が大仰な溜め息を吐いた。テーブルに肘をついて、肩を竦める。 ちらりと目線を寄越されたことで、果歩は悟る。美沙紀も、律の様子がいつもと違うことに気付いているのだと。 どうやら、わざと大袈裟にリアクションをとって場を和ませようとしているらしい。 3人の中では一番派手なタイプにも関わらず、美沙紀はそれこそ幼稚園の時分からそういう気遣いが上手かった。 まだ22歳だというのに左手の薬指に指輪が鎮座しているのは、だからだろうと思っている。 3歳年上で、既に社会人として働いている美沙紀の伴侶が、彼女の卒業を待たず早々に入籍を求めたのは、美人で頭の回転も速い友人をどうしても他の誰かに獲られたくないと考えたからに違いない。 その気持ちは果歩にもよくわかる気がした。おそらく、律も同じように理解していることだろう。
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