<第9章> 思えば思わるる

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「じゃあいいわ。許してあげる」  そう言って、姫松は電話を切った。なんとか了解を得られて、翔はほっとした。  姫松は結局、自分の利益のためだけにデートをしようとしていたのか。最近は本当に好意を持ち始めてくれたと思っていたから、少し悲しい。  それとも己を裏切る男が許せなくて、急にドライになったのか。  もしくは……本当に好意を持っていて、あえて翔が断りやすいようなことを言い出したのか。姫松の本心は、どこまでいっても謎のままだ。
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