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「学校の試験じゃないから、正解かどうかなんてわからないよ。結果として正解だったかどうかは、やってみないとわからない。正解になるかどうかは、君次第ってとこかな」
「そんな無責任な」
「でも、悪くないと思うよ。今まで挨拶をしたこともないってことは、そもそも姫松さんは、君の存在に気付いてないかもしれないでしょ。挨拶をすることで、存在を意識してもらうことができるよね」
「いやいや、いくらなんでも同じクラスで毎日顔を合わせているんだから、存在くらい気付いているだろ」
綾香は人差し指を立て、ちっちっちと舌打ちしながら左右に揺らす。
「じゃあ君は、毎日通学路で目にする、道端の草の存在に気付いているの?」
「ちょい待て!俺は雑草と同じなのか?」
こりゃまた酷いことを言う女だ。翔はむかついた。
「冗談だって!」
「は?」
「あっはっは!冗談に決まってるじゃないか、加賀谷君。それに気付かないなんて、君らしくもない!」
また出たよ、怪人二十面相。こいつの笑いのセンスがよくわからない。優れた冗談というのは、人を傷つけるようなことは言ってはいけない。
「酷い冗談はもうやめてくれ。『挨拶をするってのが悪くない』というのは、冗談じゃないよな?」
「あ、それは冗談じゃないよ」
綾香は素に戻った。
「朝や帰りの挨拶をしようよ。できるだけ自然にね!」
「あ、ああ。それなら簡単だな」
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