33人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
そう言いながらも、翔はそれすらも簡単じゃないと思った。綾香はそんな翔の気持ちを見抜いているかのように言った。
「好きな人に自然に挨拶するのは、言うほど簡単じゃないかもね。でも同じクラスなんだから、失敗しても何度もチャンスはあるよ。まずは気軽にチャレンジしてみよう」
綾香はノートの《ステップ1》の下の行に、
《コミュニケーションを取る》と書き、
その下の行には《挨拶する》と書き加えた。
そして更に行を変え、
・できるだけ自然に
・気軽に何度もチャレンジする
と箇条書きにする。
「何日かこれをやってみて、その結果を見てから、次の《ステップ2》の打ち合わせをしようよ。いいかな?」
「え?あ、ああ」
「じゃあこれで、第一歩の計画作成は完了!」
◇◆◇
満面の笑顔で、諸手を挙げる綾香。どうやら本日の綾香の講義はこれで終了のようだ。
まだ昼過ぎだというのに、とても長い一日を過ごしたような気がした。目の前には、冷めかけたピラフとハンバーグランチ。
「おい神ノ木。飯食おうぜ」
「あ、ホントだね。ついつい夢中になって、忘れてたよ」
翔のピラフよりも量が多いランチセットを、ばくばくと食べる綾香。小柄なのに、スポーツをしているからだろうか。エネルギッシュな綾香の元気の源であるような気もした。
「明日からが楽しみだねー」
最初のコメントを投稿しよう!