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<第2章> 玉磨かざれば光なし
2-1
◇◆◇
「じゃあ、作戦会議をしましょう!」
綾香は隣の椅子に置いたスポーツバッグからストライプ柄の布製ペンケースと、真新しい青い表紙のノートを一冊取り出しテーブルに置いた。
ペンケースからシャープペンシルを取り出し、ノートの一ページ目を開いて顔を上げると、綾香はくりっとした目をキラキラと輝かせて言った。
「まずは、目標をはっきりと決めよう」
「目標?」
なんだそれは。翔の頭は理解が追いつかない。
「そだよ。目標。君が実現したいことは何?」
「え?」
改めてそう言われると戸惑う。
「えっと……姫松さんと仲良くなることかな」
笑顔でごまかしながら、翔は答えた。
「仲良く……か。ちょっと漠然としてるね。もう少し具体的に考えようか」
「なんで?」
そもそも恋愛の相談に乗るという話で、目標設定がいるのか?具体的ってどういうことだ?翔の脳内は、混乱が増すばかりだった。
「例えば今君が言ってるのは『綺麗な景色が見たい』と同じくらい漠然としてるんだよ。」
「はあ……そうなのか?」
まだよくわからない翔は、曖昧に相槌を打つのが精一杯だった。
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