僕の恋愛成功計画

＜第１章＞ 果報は寝て待て

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　あれは高校の入学式の日、新入生が集まる体育館で初めて彼女を見かけたとき、翔は思わず目を奪われた。高校一年生にしては大人っぽいシャープで整った顔つき、薄化粧をしたようなくっきりとした目、すらりとした長身。

　振り返ると肩より少し長い髪がふわりと優雅に揺れた。柔らかで高貴な感じがする身のこなしだった。「女優をしてる」と言えば、誰もが信じるような美しさ。

　――あんな、いかにもお嬢様という風情の美しい高校一年生がこの世に実在するんだ。

　大勢の同級生がひしめく殺風景な体育館の中で、一人浮き上がった存在に見えた彼女。これがアニメやゲーム、いわゆるアニ・ゲーの世界なら、近いうちに突発的な出来事がおこり彼女と急接近することになる。

　夢の高校生活の始まりだ！きっと彼女との間に何かが起こり、自然と二人は惹かれ合うんだ。それともある日突然、彼女から「好きです。付き合ってください」と告白されるのかもしれない。