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セミがうるさいある夏の日だった
祖父母の住んでいる田舎に行った時のこと──
「ねぇ、どこから来たの?」
彼女は突然現れ、そう尋ねた
「別に、どこでもいいだろ」
この辺にも歳の近い女の子なんていたのかと思いながら返事を返す
「じゃぁ、ちょっと遊びに行かない?」
僕は誘いに乗るか迷ったが
「ん、いく」
行ってみるのも良いかと思い誘いに乗ってみることにした
彼女と遊ぶ時間は祖父母の家で過ごすより刺激的で
毎日のように彼女と遊ぶのが楽しかった
彼女はきらきらとした笑顔を僕に向け
僕にこの田舎のこと、そして遊び場を教えてくれた
だけど、帰る日が刻々と近くなると、彼女と離れるのがさみしくなってしまった
彼女のことを見ると離れたくない気持ちが膨らむ
僕はとうとう気持ちを伝えることにした
「僕、君のことが好きだ」
彼女は嬉しそうなでも困ったような顔をしながら
「でも、もうすぐ帰るんでしょ?」
確かにそうだったので口をつぐんでいると
「また会えるのを待ってるから、迎えに来てくれる?」
彼女の言葉にうなづいた
「僕は、夏にもっといい男になって君を迎えに行く。だから、待ってて」
僕の告白はセミの鳴き声の中成就した──
もうあれから2年がたった
また夏が来る、
「やっと君を迎えに行けるよ」
僕はあの田舎に行くための切符をにぎりしめ
家から飛び出した
彼女へのプレゼントを持って
僕はあの夏の続きをしに行くのだ────
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