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「白い人は魔法が使えない、ってパパとママが言ってたけど、何で此処にいるんだろう……」
声の雨の間から、細かい氷の礫が降りて来る。
それは大広間中を照らす柔らかい蝋燭の明かりを受けて、キラキラと透明に、冷たく光りながら、容赦なく私に打ち付ける。そして柔らかい部分にぶつかっては、そこを少しずつ傷つけていった。
毎年のことだ。このような言葉を隠れて投げられるのは。
彼らも、見飽きればやがて何も言わなくなる。
わかっている。
わかっているけれど、この全身を突き刺す好奇の視線と、投げられる無意識の礫が、痛い。どうしようもなく痛い。
脚が、手が、背中が、震える。
だから、入学式は嫌いなのだ。
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