月は泣き、星は添う

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 そして、「出来損ない」、「雲居家の恥」だと、言われ続けてきた。  私自身、成長する中で自分が『月の人』と呼ばれる者であることを理解し、同時に自分には魔力がないのだということもまた、悟っていた。そのような者たちがこの魔法族の住まう世界において、差別を受け、迫害されることも。  しかしその時、私は一人ではなかった。  七歳になった魔法族の子どもたちが皆受ける、適性試験。そこでは、魔力の強さや量などから適性や、才能を測り、次の年に入学する学校が決められる。  魔力が無く、魔法の適性が無いと分かれば、そのような人々が集められた学校に行くことができるのだ。そこには、自分と同じような子どももいるはずだ。『月の人』と呼ばれ、魔力を持たない子どもが、きっと。  私は、そう思っていた。  だからこそ、魔法界に五つある学校のうち、一番歴史が古く、一番の名門だと言われるこの、グラン魔法学園から入学許可証が届いたとき。  私は驚き、そして、どうしようもなく泣きたくなったのだ。  それから、七年。  そろりと、目を開ける。  視界の端に、キラリキラリと細く光る、白銀の髪の先が映る。  私は、この髪を見る度に思うのだ。  どうして、私は他の人たちと違うのだろう、と。     
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