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プロローグ~ ARAYO side ~
知る人ぞ知る……もとい、呼ぶ人ぞ呼ぶ≪現世界≫という世界。
そんな世界のとある小さな島国のとある小さな都市。
乱立するビルディングの連なりに埋もれたようなとある小さな繁華街の一角を、更に小さく小さく肩身狭そうに担うコンビニエンスストアの店内に視点は向く。
時刻は深夜、舞台はレジ。
仕事をこなすでも人生を生きるでも、いかにも要領が悪そうな青白い青年と。
仕事も人生も行き当たりばったりで刹那的、いかにも要領の良さだけでどうにか誤魔化して生きてきたような、こちらも不健康に痩せ細った男が対面している。
「あ、い、いらしゃいま……」
「あと、タバコ二つ」
「え?あの……」
「タバコ二つ。いつも買ってるやつ」
「いえ、あの、す、すいません……。いつものと言われましても……えっと、何番のも……」
「(ちっ)新人かよ、めんどくせぇ。……それ、15番。ボックスのやつだから。覚えといて」
「あ、はい、すいません……」
「だから、二つだってば」
「あ、は、はい。すいません……」
「(ちっ)……あと、弁当のあっためとかいいんで早くして」
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