プロローグ~ ARAYO side ~

2/17
前へ
/1034ページ
次へ
 「あ、はい。かしこまりました」  ピ……ピ……ピ……ピ……ピ……  「では、こちら年齢確認のボタンを……」  「ピ。(無言で)ああ、ポイント全部使って?」  「あ、はい。かしこまりました。ではポイントが156円分ご利用……」  「は?150?」  「え、あ、はい。ポイントの残高が156ポイントですので、そちらを……」  「いやいや、ないない。有り得ないし」  「え、あ、え?」  「ないないない。俺、こういうポイントとか貯めとくタイプだし、このカード作ったの半年も前だし、ここに週四ぐらいできてるし、いっつも千円ぐらい使ってるし。もっとあるよね、ポイント?」  「え、あ、いえ」  「早く」  「あ、いえ、でもお客様……ポイントがなくて……」  「は・や・く」  「あ、いえ、は、はい、え?え?」  パニックにおちいる青年。  露骨にイライラしている男。  どちらにとっても、落としどころも出口も見えない膠着状態が続く。  青年は救いを求めて無意識に視線を巡らせる。  しかし、生憎と今は深夜時間帯。  その混乱した目に映るものといえば、次の週から始まるキャンペーンの告知POPの派手さや、昼間に比べて大分スペースが空いた陳列棚のもの悲しさだけ。     
/1034ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加