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「あ、はい。かしこまりました」
ピ……ピ……ピ……ピ……ピ……
「では、こちら年齢確認のボタンを……」
「ピ。(無言で)ああ、ポイント全部使って?」
「あ、はい。かしこまりました。ではポイントが156円分ご利用……」
「は?150?」
「え、あ、はい。ポイントの残高が156ポイントですので、そちらを……」
「いやいや、ないない。有り得ないし」
「え、あ、え?」
「ないないない。俺、こういうポイントとか貯めとくタイプだし、このカード作ったの半年も前だし、ここに週四ぐらいできてるし、いっつも千円ぐらい使ってるし。もっとあるよね、ポイント?」
「え、あ、いえ」
「早く」
「あ、いえ、でもお客様……ポイントがなくて……」
「は・や・く」
「あ、いえ、は、はい、え?え?」
パニックにおちいる青年。
露骨にイライラしている男。
どちらにとっても、落としどころも出口も見えない膠着状態が続く。
青年は救いを求めて無意識に視線を巡らせる。
しかし、生憎と今は深夜時間帯。
その混乱した目に映るものといえば、次の週から始まるキャンペーンの告知POPの派手さや、昼間に比べて大分スペースが空いた陳列棚のもの悲しさだけ。
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