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南の海の魚たちは、雪が空から降ってきて冷たいことを知っているのかな
―――プロローグ、地球の栄養―――――
あらら、しばらく見ないうちに、こんなに草が映えちゃって……
これじゃ、日が暮れる前に終われるか心配ね。
まあ、こんなろとこに穴が開いて……、
あら、何か動いてる、ヨンボリかしら。
どこどこ、うわ~ほんとだ、こっち見てる。
ヨンボリってなに?虫みたいだけど
ヨンボリっていうのはね、お母さんの地元ではセミの幼虫のことをそう呼んでいたのよ
へー、蝉の幼虫かあ……
ねえねえ、このセミの幼虫は何を食べているの?
ヨンボリは普段、土の中でずっと木の根っこの汁をすっていきているのよ
フーン
でも、こんなところに木の根っこなんてあったかしら……
あっ、あそこに木が生えているわねー
この世の中にある全ての生きものは、みんな何かと繋がっているのよ、
たとえるなら、このヨンボリと同じ、誰かさんに栄養をもらってる感じかしら。
へーっ、じゃー、聞いてみるよ……あの木の生えている地面の栄養は何処からやって来るの?
地面かあ、むつかしいわね、生き物じゃあないけど、
それはねえ、秋になったら木の枝から散った落ち葉が土に生まれ変わるからよ。
じゃー、川の栄養は何処からやって来るの?
それは、森の大地にしみ込んだ雨水がいろんなものを連れてくるから。
それじゃー、海の栄養は何処からやって来るの?
それは山から海へ、手と手が繋がっていることを、川が伝えてくれるから。
それじゃーそれじゃー、海よりもっと大きな、地球の栄養は何処からやって来るの?
それは、もしかしたら、ほんの偶然、空から落ちてくる隕石が、何処までもず~っと遠く広がった、はてしない宇宙から、運んできてくるのかもね。
さあ、日も暮れそうだから急いで草を抜きましょう
暗くなると、蚊もいっぱい飛んでくるし、もうすぐお盆だからお墓参りの準備をしないとね。
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