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―――ちっこい、ちっちゃな、モモイロサンゴ――――
温暖な生命ゆたかな黒潮のあたる太平洋の海、サンゴや海藻が辺り一面、色とりどりに海底をおおいつくしたその美しい海にあって、一際「ぽつん」と目立つ、何も色づいていない場所。
そう、あの時の、隕石さんの落ちた場所。
あれから何年も経ったというのに、落っこちた衝撃で荒れ果てたまんまです。
その荒れ果てた場所のほぼ真ん中、直径一メートルにも満たないほどの隕石さんはころがっていました。
やや溶けた様子のうかがえる、その岩肌の表面には、海藻や微生物、藻ひとつ生えていません。
「もうかなりの年月が流れていったのに、ここまで何も生き物すべてを寄せ付けないなんて変わった隕石ね」
「まあ、もうちょっと、長い目で見守ってみるとしますか」
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