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しばらく時間が過ぎて、「ハッ!」っと、気が付くと、隕石のすぐそばまでオニヒトデは、近づいてきていました。
とうとう、体が当たるところまで、隕石に近づくと、数ある脚のうちの一本を、隕石に沿うように、ゆっくりと高々に持ち上げ始めました。
足の裏には、びっしりと生えた、触手がうごめいて、吸盤状になっている先端の部分を隕石の岩肌に吸い付かせると、そこから残りの重たい体を引き寄せるようにして、じわじわよじ登ってきます。
さらに、もう一本の足も乗り移ろうとしています。
じっと見ていると、とってもゆっくりのようですが目を離すと、びっくりするほど、体を移動させています。
このまま完全にオニヒトデが隕石に乗っかってしまうと、後にはさえぎるものは何もありません。
こんなずっしりと重そうな大きなオニヒトデがのしかかってしまうと、あんなに小さなモモイロサンゴでは、もう、ひとたまりもありません。
「もうだめだっ!」
オニヒトデの体が完全に隕石に乗り移ろうとしていたその時です。
突然「ゴリゴリ!ゴリゴリ!!」っと、石と石が擦れるような、鈍いようですが硬い音が、海底に響き渡りました。
「なにが起こったの?」
なんと、隕石が傾いたり前後左右に揺れたり動き始めたのです。
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