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体のほとんどをよじ登らせていたオニヒトデも、その動きでむりやり脚を引き剥がされると、「フワッ」っと体が浮き上がり、元いた海底に落ちていきました。
オニヒトデを振り落すと、隕石も静かに動かなくなりました。
直後、しばらくの間「何が起こったのか?」とでも考えていたのか、じっとしていたオニヒトデも、また徐々に動き出し始め、次の行動に移りました。
また諦めずに体を登らせようと隕石に脚をかけてきした。
またもや隕石が「ゴリゴリ!」っと、音をたて、不規則に揺れ出しました。
今度はすこし脚を掛けていただけなので、すぐに振り落とせました。
しばらくして、再び動き出したオニヒトデ。
「もう終わりかな?」
が、脚が再び!今度も諦めずにしつこくアタックしてきます。
これは長い戦いになりそうです、とってもしつこいオニヒトデと、まるで、どちらが諦めるかの我慢比べです。
「ゴリゴリ、ゴトゴト」
それは、うるさいだけで派手な動きといったら、まったくありませんが本人たちは、いたって真面目で本気、厳しい自然界の食物連鎖のなか、「食うか食われるか!」の命を懸けた真剣勝負です。
たまたま、近くを通りかかったスズメダイ達が、それを見て話します。
「何が起こっているのかしら、騒々しいわね」
「あの変な石にはやっぱり近づかないほうがいいわね」
どれくらい時間が経ったのでしょうか。
今しがたアタックした後、しばらく沈黙して動かないオニヒトデ。
「やっとあきらめたかな?」
再び動き出したオニヒトデ、でも、今度はなかなか脚を上げようとしません。
とうとう、あの、しつこいオニヒトデも、やっと堪忍した様子です。
ゆっくりと海底を這うと、隕石からだんだん遠ざかっていきました。
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