茉莉花の花言葉

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私の名前は茉莉花(まりか)。 今年23歳。 地元の女子大を卒業して、今年わりと大手の出版社に入社した。 わたしの名前の茉莉花は ジャスミン…とも呼ぶのだけれど、 その当て字をもらって、茉莉花になった。 茉莉花(ジャスミン)の合言葉は、愛らしいとか、愛想の良い…という意味があるらしい。 あとは柔和という意味も。 私の実家はお花屋さんをやっていて、 ジャスミンの花のように、 愛らしい子になるようにと名付けられた。 でも、実際は柔和どころか せっかちだし、結構慌ててしまうタチだ。 自分でも思うけど、 名前負けしてるなーと思ってしまう。 そんなことを会社のデスクで考えていると 「上野くんっ!!」 細野課長に呼ばれてしまった。 また気付かない内に 何かしでかしたのだろうか… 不安な気持ちで せかせかと課長のところへと行く。 「中澤くん、確か100部会議の資料をお願いしてたと思うんだが、50部しか刷られてないよ」 しまった、別の要件で電話に出たあと、 すっかり残りの印刷を忘れてしまってた… 「申し訳ありません、直ぐに残りの50部を刷らせていただきます」 「困るよ、毎回抜けがあるじゃないか…」 入社して半年、大きなミスはないものの ちょこちょことケアレスミスが直らない… やり手の細野課長からした、私は厄介な存在だろうな… そう思いながら 「すみません…次回から必ず気をつけます」と頭を下げて先に戻った。 「茉莉花(まりか)どうしたの?」 ショボンと肩を落としながら席に戻ると、 飯橋水月(いいはしみつき)先輩が声を掛けてくれた。 飯橋先輩はいつも、 優しくこんなミスばかりする私をフォローしてくれた。 先輩は163センチの私とは違い、 150センチも満たない小さな体に 少し癖っ毛でふわふわした雰囲気の持ち主なのに、仕事はもの凄く出来る。 いつも細野課長にも一目を置かれてる。 仕事がキッチリしていて、面倒見が良いのに 偉ぶるところも全くないので、皆んなから好かれていた。 なのに、当の先輩本人は全く気付いていなかった。
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