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日曜日講義もない大学のキャンパスは、
いつもより人の出入りが少なくて
人影もまばらだった。
いつものすっかり歩き慣れた銀杏並木を抜けると放送部の入った建物に出る。
学校のグラウンドでは野球部とテニス部が
声を出して練習に励んでいた。
カップの飲み物だけ自販機で購入して、
私は上持先輩の待っている部室へと急いだ。
少し早めに着いてしまったので、
部室で待っていようと入口の扉に手をかけ開けようとした瞬間、部室の中から誰かの話し声が聞こえ
ハッと手を引いて様子を伺った。
この声…上持先輩と、紗英先輩。
東堂紗英先輩は、
上持先輩と同じ4回生で構内では、
紗英先輩のことを知らない人は居ないくらいの有名人だった。
何故なら大学で行われる、
美人コンテストミス○○で優勝し、
来年からアナウンサーとしてテレビ局の採用も決まっている超ハイスペックな人だったから。
紗英先輩の取り巻きやファンも多かったし、美人なだけでなく誰でも気さくな人柄は本当に人気があった。
そんな2人がなんで…
「…紗英落ち着けよ」
ドアの隙間から、上持先輩の声が漏れる。
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