第一章 隠す感情 

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「ここはどこ?」 自分は気づくとここにいた。人が暮らせる程度に物がそろっている、いたって普通の部屋だ。洗面台には鏡があり、もちろん冷蔵庫などもある普通の部屋。ただ一つ。窓の外の景色が黒い絵の具で塗りつぶされたように暗いことを除いてだが。意識ははっきりしていて、体に変なところはない。鏡を見てみると自分が映る。長い髪、150㎝程の身長、周りの人から可愛いと言われていた、いわゆる美少女といわれる顔だ。その顔の友達がいたら惚れてしまいそうな、そんな顔。 「いや、自画自賛ってわけじゃないからね?」 と思わず言ってしまい顔を赤くする。そして格好はゆるゆるのシャツにホットパンツ。 なぜ服装が変わっていてこんな部屋着に?考えていると後ろから物音がして、 「ここに人が来るのは珍しいね。迷ってきたのかな?」 という声も聞こえてきた。後ろを向くと目の前、あともう少しで唇がついてしまう程の近さにその女の子はいた。可愛くて暴走しかけて、それを抑えて彼女を観察する。胸元が開いた服にとても短いスカートで、その女の子がクルクル回ると下着が見えてしまい、咄嗟に目を逸らして 「ここはどこなんですか?気付いたらここにいて、こんな格好をしていたんです。」 「ということは君は客人というわけか。ようこそ。歓迎するよ。ここは私の命を保つ場所。異次元ってとこさ。だけど、このままだと私の命は消えてしまう。その為には素質がある人間と契約しなければならないんだ。客人は契約できる人のことさ。」 「つまり、あなたと契約することになるんですか?」 「そういうことになるね。私はバステト。バステッタって言われているよ。君の名前は何かな?」 「僕は木枯林斗。一応言うけど男だからね。」 そう僕が言うと彼女は胸を隠し、スカートを押さえ、頬を赤らめ言った。 「見た?」 と聞いてきた。 「な、何を?」 と聞くと 「私の胸とパンツをよ!」 と、言われた。言い逃れはできないなと思い、僕は言った。 「美少女の見れて、幸せでした。」 その時点でビンタが僕の顔に当たりました。うん。痛い。 衝撃で倒れる前に見た彼女の顔は真っ赤になっていて、 「真っ赤になってかわいいね。」 と言った時に彼女は笑っていた。うん、なんでだろうね?てか初対面でいうべきとこじゃないな。けど初めて会った気もしないんだよね。 そこまで考えて僕は衝撃で気絶した。
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