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一冊の本を両手に抱えながら、夕暮れ時の森を息を切らせながら1人の少女が走っていた。
泥だらけのメイド服を身に纏い、木の枝で引っ掛けたのだろう足は擦り傷だらけである。
赤い夕日が木々の間から差し込む森は何処か切なく、物悲しい雰囲気に包まれている。
持っていた本を枯れ草の上に放り投げ、おもむろにポケットからマッチ箱を取り出して火を付けた。小さな炎は夕日に溶けるようにユラユラと揺れている。
この本が跡形もなく燃え尽きた頃には、この熱く燃える恋心も消えて無くなっているのだろうか?
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