甘いひととき

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甘いひととき

人が待つという行為をすることは多い。時計を見て、あと何分待てば良いのだろうか、と考えて過ごす。何も関係ない話だが。 今、まさしく私は待つという状況にいるだろう。 椅子に座り、時計の針が刻む音に耳をかしながら、ただひたすらに待つ。 部屋で待っているのだから外で待つよりは辛くないが、退屈なものだ。 カチコチカチコチ時計の音。 この部屋に甘い香りが広がる いや、気にしていなかっただけで随分と前から甘い香りは漂っていたように思う。 美しい女性が隣を通り過ぎた時のような風とともに鼻をかすめる甘い香りと似たようで、似ていない、甘い香り さて、まだだろうか。 待たされ続けられた者の行動は少ない。 待つという行為は受動的なものだ。待つことは相手が必要だが、相手が自分から来てくれるのを信じるしかないからだ。 電話をかけるのももちろん良いだろう。 だが、急かしていると思われるのも嫌だ。 自分から迎えに行こうと思う行動派もいるだろうが、その者達が考え、頭に過ぎることは、もしかして相手も近くに来ていてすれ違いになってしまったらどうしようということ。 待つという行為は受動的だ。 自分から行動を起こすことが待つと言う行為をしている時は出来ないのだ。 時計の針を見る。 規則的なリズムで刻むそれは先程よりも時が進んでいることを告げる。 ここまでくだらない話をしてきているが、どうにも自分は行動派だったらしい。 相手の場所が分かっているなら迎えに行くこともできるだろう。 相手をガラス越しに認識したのだから近くで待とう。 それとも迎えに行くか、 急かしているようでかっこが悪い。 チン
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