一章 遭遇

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一章 遭遇

 今から語るのは、罪を犯した少年の物語。そして、少女が罪を背負うまでの物語だ。  太陽がまだ真上に上らない午前時。  月崎輪(つきさき りん)は体力を全て使い果たし状態で都会を歩いていた。春頃とは思えない日差しは、地面のアスファルトを十分に暖め、歩く者を苦しめている。  憎らしげに嘲笑う太陽は、空を揚々と照らし続けていた。  制服のあっちこっちに汚れが見受けられ、依頼を終えたばかりだと思われる俺に、隣から天使の祝福のような提案が発される。 「輪くん、付き合ってくれたお礼に昼飯奢るわ。それと報酬をまだ分けてなかったから、ついでにどうするか決めましょう」  暑い日差しにも負けない、元気を表したような光沢を放す金髪の少女はにっこりと微笑む。いつも隣から見せてくれる可憐な笑顔は、救いを指し述べる天使のように輝かしい。  ほんのりと赤く染めた頬と、背筋から垂れる滴で汗ばんだシャツは、異性からの視線を集め、チラ見する輩がチラホラと見受けられる。  彼女は舞草七海(まいくさ ななみ)。今、人気上昇中のメガネ子美少女であり、最年少で【霊位】に至った新進気鋭の霊媒師である。     
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