一章 遭遇

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 俺と同い年にも関わらず、学園でも生徒会長に選ばれ、複数の事務をこなす天才だ。だが、言い方を変えると常識を容易く破り、学生では絶対無理とされた階級まで辿りついた奇行少女でもある。 「ごっつぁんです」 「何それ、相撲でもはまったの。人の趣味を動向言う訳ではないけれど、体格以前に小心者感が漂っていて弱そうだから今すぐ止めた方がいいわ」  つい乗りで、似非力士風に答えて見たが全く受けなかったらしい。冗談でも言ってないと、周囲の鋭い眼力で押し潰されそうになるが、逆に可哀想な子のように接しられると辛い。  やっぱり階級の器だろうか。  一般過程で学生が会得できる階級は、下から数えて三番にあたる【輝位】までである。毎日勉学に励んだといって、貰えるものでもなく、目に見える結果を提示しなければならない。  知識が豊富でも、活用できるだけの技術がなければ、どの道、霊媒師になっても早死するだけなので、簡単に上がれないようになっている。  でも、七海には木登りするかのように感じたのか、輝位より二つ上の【霊位】に辿り着いて見せた。  誰もが驚愕するのは当たり前だろう、誰一人この若さで成し遂げられなかったことを、成し遂げたのだから。  俺も聞いたときは、エイプリルフールかと思ったぐらい信じる気などまったくなかったけど。  後日、舞草に教育という拷問が行われ、無理矢理、理解させられた。  怖かった。     
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