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結城は話しを続け
『ここが無ければ便利屋純一郎は無かったよ。』
中瀬は
『そうだったんだ………』
結城は
『軌道に乗るまで一番大変な思いをしてたのは敬子だよ。それでもいつも笑顔を見せてね。こんな俺に着いて来てくれた事、俺はたくさん感謝してるよ。』
敬子は
『私は純君が頑張ってくれたから、だから私は純君を信じて着いて行けた。純君、夜勤のアルバイトも含めて、何ヶ月もほとんど休みなしでアルバイトしてたもんね。』
結城は敬子に
『大丈夫?落ち着いた?』
敬子は笑って
『うん、大丈夫。もしヤバいならおんぶしてくれるんでしょ?』
結城も笑って
『ここからでもおんぶするけど………』
敬子は
『それじゃお願いして良い?』
結城は敬子に背中を見せ
『背中に乗りな………』
敬子は結城の背中に乗り
『背中暖かい………』
結城は野間口に
『明日、一度高山の台所の隠しカメラ確認しようか?』
野間口は
『何か映ってると良いけどな。』
結城は不敵な笑いをし
『隠しカメラ回収と同時に、もう一台隠しカメラを置くから。必ずネズミは映るはずだよ。』
中瀬は
『結城君、いつもと違う………』
野間口は小声で
『真田さんに喝入れられたからね。結城のスイッチをオンにするのもオフにするのも真田さんの言葉一つさ。』
中瀬は小声で笑いながら
『お釈迦様の手の平で転がされてる孫悟空………』
『ぶっ!!………』
野間口は中瀬の言葉に口に手をあて笑いをこらえるのが大変だった。
敬子をおぶってる結城は笑いながら
『内緒話しは聞こえない様にやってくれる?』
結城の背中におぶさってる敬子も笑って
『私がお釈迦様で純君が孫悟空だって~。』
結城は
『で、俺が敬子の手の平で転がされてるらしい………ってかそんな冗談を言ってないで帰るぞ~。中瀬さんはどうするんだ?置いてくぞ~。』
中瀬は慌てて
『ちょっと待ってよ~、私も行く~。』
敬子をおぶってる結城は外に出ると
『今日も夜空が綺麗だよ。』
背中の敬子も夜空を見上げ
『本当だ。夜空、綺麗だね。』
中瀬がやっと外に出て来て
『おまたせ~。』
結城は
『それじゃ帰ろうか。』
三人は自宅へと足を向けた。
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