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「そうなんだよ。やっぱり女性アイドルグループの曲の方が宇宙人ウケもいいのかなあ……」
「いや、もっと根本的なところから間違ってるように思うんですが……一度、誰か有名なチャネラーさんとかにやり方教わった方がいいんじゃないんですか?」
本日も平常運転で、相も変わらずピントのズレた妄言を吐いている守田さんに、わたしは苦笑いを浮かべながら呟くように小声でツッコむと、そんな当然の提案をしてみる。
「やっぱそうするべきなのかなあ……でも、こんなに宇宙は広いんだ。どんなやり方でも僕の強い想いを受信して、やって来てくれるUFOの一つや二つあってもいいと思うんだけどなあ」
だが、彼はわたしのまっとうな意見(※本物のチャネラーがいること前提)にもどこか納得がいかない様子で、ぶつくさ言いながら頭上に広がる天を仰ぐ。
それにつられ、わたしも守田さんのとなりでゆっくりと首を上げて夜空を見上げる。
無駄に明るい街の灯に邪魔されて、今夜も都会の夜空は星の見えない無機質な暗灰色のドームだ。
「あっ!」×2
と、その時、その夜の帳の上で不意にキラっと輝いたオレンジ色の光に、わたしと守田さんは思わず同時に声を上げた。
(屋上のチャネラさん 了)
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