魔術師やってます!

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「家でお仕事するってこと?」 「そう、週二回、水曜日と金曜日は家で作業するんだ」 「へー。今時のサラリーマンってそんな働き方ができるんだね」 「いや、僕はフリーランスだから」 「フリーランス! なんかかっこいい! 強そう!」  フリーランスの意味を分かっているのかいないのか、夢香ははしゃいでいた。そんな彼女は放っておいて、龍明はベッドから起きて洗面所へ向かった。  顔を洗い歯を磨き終えた龍明は仕事をするため、ノートパソコンをちゃぶ台にのせ、電源をいれた。  夢香はすでに布団を畳んでいた。 「ねえ、私も洗面所使っていい? あと、シャワーも浴びたいんだけど」 「ああ、いいよ」  龍明は快く承諾した。  彼女は「ありがとう」と言い、自分のリュックサックを持って洗面所へ向かった。  洗面所に入ったことを確認すると、龍明は安堵の吐息をもらした。  ああ、これはシャワーを浴びてすっきりした状態になってから家に帰るのだな、と察したからだ。  一時はどうなることかと思ったが、おさな気なアラサー少女を一日だけ保護し、無事に家に帰す。  そのお礼は、夢香からの森のくまさんという名の呪詛であったが、それは甘んじて受け入れようではないか。  自分は完璧な立ち回りをしたのだ。そう確信した龍明は、鼻歌まじりに仕事を開始するのであった。
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