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佐伯ミツコは告白する!
十六回目の春。
桜舞い散る、学校の裏庭で。
私、佐伯ミツコは堂々と宣言した。
「今日こそ公庵寺君に告白する!」
「ん、どうぞ。ご自由に」
古いベンチに腰かける制服姿の女子、男鹿唯が生返事する。
わざわざ立ち上がっての私の宣言は、彼女の心に全く響いてないようだった。
「男鹿ちゃん、酷くない!? 親友が覚悟を決めたっていうのに!」
「いや、そう言ってあんたが告白した事、今まで一度もないし」
男鹿ちゃんは箸をせっせと動かし、お弁当の中身をつつき始める。
私は、こほん、と咳払いし、コンパクトミラーを取り出した。
鏡に映るのは、制服姿の女の子。
ナチュラルボブで少しウェーブのかかった栗色の髪。OK。
丹念にメイクを施し、いつより大きくなった瞳と、
ラブリーキュートな薄桃色の唇。OK。
輪郭は少し丸いけど、髪を内側に寄せてあげればギリOK。
うん、なかなか決まってる。
私は悠然と男鹿ちゃんの前で顎に手を当ててみせた。
「どう? 見てよ、今日の私。いつもと全然違うでしょ」
「まー気合入ってるよね」
顔も上げず、お弁当にご執心の男鹿ちゃん。
やばい、もうすでに興味なさげなご様子。
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