佐伯ミツコは告白する!

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

佐伯ミツコは告白する!

十六回目の春。 桜舞い散る、学校の裏庭で。 私、佐伯(さえき)ミツコは堂々と宣言した。 「今日こそ公庵寺(こうあんじ)君に告白する!」 「ん、どうぞ。ご自由に」 古いベンチに腰かける制服姿の女子、男鹿(おが)(ゆい)が生返事する。 わざわざ立ち上がっての私の宣言は、彼女の心に全く響いてないようだった。 「男鹿ちゃん、酷くない!? 親友が覚悟を決めたっていうのに!」 「いや、そう言ってあんたが告白した事、今まで一度もないし」 男鹿ちゃんは箸をせっせと動かし、お弁当の中身をつつき始める。 私は、こほん、と咳払いし、コンパクトミラーを取り出した。 鏡に映るのは、制服姿の女の子。 ナチュラルボブで少しウェーブのかかった栗色の髪。OK。 丹念にメイクを施し、いつより大きくなった瞳と、 ラブリーキュートな薄桃色の唇。OK。 輪郭は少し丸いけど、髪を内側に寄せてあげればギリOK。 うん、なかなか決まってる。 私は悠然と男鹿ちゃんの前で顎に手を当ててみせた。 「どう? 見てよ、今日の私。いつもと全然違うでしょ」 「まー気合入ってるよね」 顔も上げず、お弁当にご執心の男鹿ちゃん。 やばい、もうすでに興味なさげなご様子。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!