雨女と、晴男

2/8
前へ
/8ページ
次へ
窓を叩く強い雨の音で目が覚める。 私はそっとベッドから腕を延ばし、カーテンの隙間からガラス越しの空を見上げた。 あーあ。やっぱり降っちゃうかも? 朝6時、今の時期ならもう明るい筈の時間なのにどんよりと暗い雲が空を覆っている。 今日は私もギタリストとして参加しているロックバンド、“9《ナイン》 o'clock《オクロック》”、栄えあるデビュー曲のプロモーション活動日。 確かインストアライブだった筈だから、イベント自体に雨はそれほど問題ないけど、デビュー曲なだけに客足が鈍るのは結構痛いのよね…。 心配してたんだけど…予想的中、見事雨女の才能を発揮しちゃったらしい。 私こと、鬼島(きじま)美紀(みのり)は幼稚園の入園式から今年4月の大学の入学式に至るまで、入学・卒業の日や重要イベントのある日に晴れたことが一度も無い。むしろ、入学式の日に大雪だとか、卒業式に嵐だとか…。 最近ではテルテル坊主ですら作ろうって気力も起きなくなってしまう程、妙に雨女パワーが凄い様だ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加