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「はぁぁぁぁ……………」
暗い空に対応するかの様に、底なし沼の如く深く暗い溜息が出てしまう。
「ミノ、心配するなよ」
背中から私を抱き締めながら、幹人先輩が同じ様に空を見上げていた。
彼は私より1学年上で、同じく9o'clockでサキソフォンを担当してる。
女にしてはそこそこ背の高い私よりも先輩は背が高いから、首を傾げても彼の鋭角的な顎の輪郭しか見えない。
このライン、結構好きなんだよね…と、ただそこしか見えないのに何となく胸がときめいてしまう。
「ごめんなさい、起こしちゃいました?」
「いや、その前から起きてた。
ミノの溜息聞こえたから、また一人でそーっと泣いてんのかなって心配になった」
どんな顔をしてるのか見えないけど、私の肩や耳に触れる温度とほんのり赤く染まった首が先輩の表情を教えてくれる。
多分、間違いない、照れ臭くて私に顔を見られたくないんだ。
……幹人先輩の、こういう所ってほんと大好き。
普段はぶっきらぼうで俺様なタチなのに、私を不安にさせない様に気遣ってくれる、優しい人なんだよね。
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