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スマホを落とすな!
「なんでスマホなんて落とすんだよ」
裕太は隣に並んで立っている理央をちらりと見た。
同じ高校に通う二人は付き合い始めて半年。
家が近いので、いつも同じ電車で通学している。
まだ通勤ラッシュには早いのでホームは人影まばら。
秋なのに初冬のような冷たい風が吹いている。
今朝、乗車寸前まで占いサイトをチェックしていて
カバンに仕舞おうとして落としてしまったのだ。
「手が滑った。てか、カバー付けているから大丈夫」
と言って、うさ耳の付いたスマホをヒラヒラさせた。
身長差が20センチ以上あるので見上げるように。
理央は小さい身体に似合わず、大雑把で雑なので
いつも裕太に注意されている。
逆に裕太は大きいくせに神経質で細かすぎると
毎回のように言い返されている。
傍から見ても、お似合いのカップルだ。
「機種変したばかりの最新型なのに信じられない」
無言。白いセーターに萌え袖、小さい身体に似合わず
服の上からもわかるくらいの胸に目がいってしまう。
子供の頃からお互いの親同士も知り合いだったので
自然と仲良くなり、なんとなく付き合おうかという流れ。
いわゆる幼馴染なので、手をつなぐのもひと苦労である。
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