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お互いに心の中ではもっと親しくなりたいという気持ちは
あるのだけれども照れがあるのか、友達感が心地よいのか
現状維持が続いている。
「夏休みにバイト頑張って買ったのに、よくそんなことできるよな」
裕太は自分の大事なものが壊れてしまったかのように嘆いた。
「引力が悪いんだよ。ニュートンのせいだ!」
理央は意味不明な言い訳をしている。顔は笑っている。
裕太はちょっと不機嫌になった。
「じゃあおまえさぁ、自分の子供でも落とすのか?」
理央はハッとしたように見上げた。意表を突かれた。
想定外の言葉に一瞬戸惑ったというのが正解か。
「バカじゃないの?」とりあえず口からでた。
裕太は帰宅部にしておくのはもったいないほど体格が良い。
一瞬、二人の子供を想像してしまったのか急に恥ずかしくなり
思いっきりぶっきらぼうな口調になってしまった。
裕太もそんな理央の微妙な変化に一瞬、頬を染めた。
「スマホを落とすと大変なことになるらしい、映画の中だけど」
話題を変えようとして、思いついたことを適当に言ってしまう。
「スマホを止めるな!みたいなのもあったよね」それはカメラ。
二人はスマホを丁寧にカバンに仕舞い込む。
そしておもむろに手をつないだ。ぬくもりが伝わる。
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