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第1章 七年後の街
スザンヌは枕を抱きながら、ぽっこりとした可愛いらしい腹をさらし、すやすやと熟睡していた。
その無防備な姿は異性ならば興味を引く代物だった。だが、襲われことは限りなくないに等しい。
校舎全体に強力な結界で守られており、破られたとしても結界内にいる騎士が敵を引き付ける役になっている。
ここは国が管理している施設で、騎士を育成する学園【アルスロード】だ。
魔剣と呼ばれる武器を使い、技術を高めることを目的として国が建設した学園であるが、本音は弱った武力を強化するために貴族が協力した軍事育成機関だ。
魔力の塊でできた魔石を素材し、刀身の形で研いだのが魔剣であるが、それだけでは魔力が付いただけで一般の剣と対して変わらない。
魔石自体には力はなく、魔獣と呼ばれる動物から突如変異した獣を剣に封印することで魔剣は完成する。
なぜ動物が突如変異したのか謎に包まれており、解明されないまま国は軍事力として採用している。
もぞもぞと毛布を動かしたスザンヌは目を擦り起き上がる。
朝食まで時間はあるが、スザンヌは眠気に負けずテキパキと着替えていく。
白いシャツから除く雪化粧のような肌は、彼女が王族であることを証明していた。
(よし、準備完了)
青と白の絹で織られた制服を丁寧に着込み、先ほどまで傷んだ金髪は魔法薬のおかげで艶が増している。
今日もバッチリと鏡の前で笑顔を作る姿は、誰が見ても美しいと思わせるほど美人であった。
ふと、何かを忘れていたのか机の引き出しから首飾りを取りだし、それを首にかける。
やっぱりこれがないとねという表情を浮かべると、スザンヌは小麦色に光る宝石を見つめた。
七年前、ある団長だった人から貰った誕生日プレゼントで、見た目はパッとしないけど大切な宝石である。
ずっと好きだった人から貰った始めての送り物で、最後の送り物だ。
九歳の頃はまだ思いを伝えることができず片想い状態であった、そんなある日勇気を出してアルフをお茶に誘った。
アルフは苦笑いを浮かべながらも了承してくれたので、その時は飛び跳ねそうな気持ちを堪えるので必死だった。
でも、その約束は叶わず、アルフは姿を消した。
向かった依頼の最中に大規模な爆発に巻き込まれ、現状から生存は限りなく困難だと断定され死んだと予測された。
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