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少年は昨日の喧嘩の傷もまだ癒えていない。
きっかけは些細な言い争い。
中学時代から3年間も一緒にやって来たバンドメンバーだった。
くそっ、最悪の終幕だ。
親友を失う怖さは焦りと苛立ちに姿を変え、俺の心の中で増幅していく。
俺の心を逆撫でするように、白々しいほど青い空が広がっていた。
世界中のBLUEを全て吸い込んだら、こんな色に染まるのかもしれない。
藍色や紺色ではなくて、空色。
深い青が涙で薄まる色。
「痛いのはここじゃなく、心の中だっての」
腫れと多少の熱が残る左頬をさすり、雲一つない空に向かい吐き捨てるように呟く。
息が白い。
少年の視線の先には、飛翔する1羽の大きな鴉。
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