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窓を開けてみる。
風が冷たい。
窓越しの世界は、日差しで暖かく見えるのに。
窓を1枚失っただけで、こんなに寒く感じる。
私も心の窓を失ったのかも知れない。
いえ、自ら割ってしまったと言うべきか。
雲一つない空に、少しだけ『染み』を付けてやりたい。
白い息を雲になるように飛ばす。
私のささやかなレジスタンス。
左手のリストカットの跡が、少しだけ疼いた。
吐息が雲にならなかった代わりに、1羽の大きな鴉が青いキャンバスを切り裂いた。
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