天然記念物を映す写真家~菜月の物語~

6/9
前へ
/9ページ
次へ
 残念そうに菜月は答えた。  申し訳なさそうに「それは失礼しました」と女性は謝ってきた。 「いいんです、父も人に見てもらえると喜びますから」  にっこりと菜月は微笑んだ。 「坂本菜月(さかもとなつき)って言います。どこかで私の写真を見つけたら思い出してください」  その名刺には『プロフォトグラファー』と肩書きされている。 「内山法子(うちやまのりこ)と言います。是非撮れた写真を見せていただきたいです。写真家の方とお知り合いになれるなんて嬉しいです」 「とんでもない。もしオコジョが撮れたらメールで送りますね」  別れの挨拶をすると、菜月は登山準備をして目指す槍ヶ岳へと足を進めた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加