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おずおずと、少し遠慮がちに口を開いてみた。
違っていたらそれこそ恥ずかしい気がして様子を伺ってみると、ゆっくり1度、頷いた。
「へぇ~、この子がみなとが見た子だったんだ!」
「なるほどな!可愛いじゃん」
健斗も隆明も納得したように、わっと声を上げたおかげで一気に場の空気が緩んだ気がした。
「ぼくもいっつもここに来るんだけどね。あんまりだれも来ないから、楽しそうで気になって見ちゃってた」
「そっか~、このへんに住んでるの~?」
「うん、…まぁね」
「じゃあおれらと“たんけん”して一緒に秘密基地にしようぜ!」
「そうだな!えっと、はるか…くん?はるか、ちゃん?」
ふと、見た目と声からは男の子か女の子か分からなかった為どう呼べばいいか分からず問いかけた内容に、目の前でクスクスと楽しそうに笑い出された。
何かおかしいことを聞いてしまっただろうか。
思わず頬をかく。
「ふふ、よく聞かれるんだ。好きに呼んでくれていいよ」
「えっと、じゃあみんな呼び捨てだし、はるか…でいいかな」
「いいよ、みなと君」
改めて視線を合わせて名前を呼ばれると、どこかむず痒いような落ち着かない気がする。
少し視線を彷徨わせて少し空いた間の中、ずいっとオレの肩を持ち前に出てきた隆明にホッと息を吐いた。
「じゃあじゃあ~、おれははるちゃんって呼ぶ!」
「わかった、たかあき君」
「ならおれは、はるって呼ぶよ」
「けんと君、よろしくね」
ひゅう、―
自己紹介を終えた時、また一つ今度は柔らかい風が吹いた気がした。
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