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「お待たせ~!」
「おー、たかあき遅かったじゃん!こっちこっち~」
「みなと、けんと、ごめーん!先生にれんらくノート渡し忘れちゃっててさ~」
「そんな待ってないから気にしなくていーよ」
かえりの会も終わって同じクラスのオレと健斗はぶらぶらと午前中の話通りしばらく下駄箱で待っていた。
間もなく隣のクラスの隆明が、バタバタと慌てて教室から階段を降りてくるのが見えたから大きく両手を振って呼び止める。
よっぽど慌ててたのか、肩にかけたランドセルは片方しか腕を通していないし、鍵もしまってなくて蓋がパカパカしている状態だ。
「んじゃ、行きますか~!たんけんの旅へ!れっつらごー!」
「「おー!」」
健斗のかけ声に合わせてオレと隆明で声を揃えて右手の拳を上げた。
オレと健斗と隆明の3人は、保育園からずっと同じで、仲良くカードゲームしてみたり外で虫を捕まえたりかけっこしたりとにかく沢山遊ぶほど仲が良い。
家も同じ方向で学校帰りによく寄り道して泥だらけになりながら帰るもんだから、帰宅早々にお母さんに叱られるのも日常茶飯事。
とは言っても小学校に入学して以降、決められた帰りの門限を破ったことは未だない。
今日は“探検”と“秘密基地”と聞いているから、冒険のようでワクワクと同時にほんの少し、イタズラをするみたいでソワソワしてしまう。
「なぁ、そのひみつきちってどのへんにあるんだ~?」
「あ、たかあきにはまだ言ってなかったよな!帰り道の途中なんだけどさ、えーっと、いっつもはあの信号渡って帰るじゃん?あれ渡らずに左に行くんだ」
「お、そういえばあっち側あんま行ったことないよな~」
「なんかさ、あの道の先ってあんま人いないよな」
何の気なしにオレの呟いた一言に二人がはた、と止まる。
一瞬の間が空いて、バシンと大きい音がするくらい健斗と隆明に叩かれた。
「も~、不吉なこと言うなよな~」
「ホントだよ!変にビビらせんなっつーの!」
『そんなつもりはなかった』と弁解する暇もなく、逆に奮い立たせるように二人に手を引かれてしまった。
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