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中に入ってみると、外からの陽の光が入口から淡く差し込んでくる。
それに加えて反対側には小さな開き窓のような丸い穴が開いていたから、思っていたよりも中は薄暗くなかった。
天井は上げた顔から拳4つ分程上にある。腕を伸ばしたらすぐにでも届きそうだ。
「いいね、ここ。思ったより暗くないじゃん」
「ほんとだ~!カードゲームも十分出来るくらいじゃん!」
「こいつなかなかいいラスボスだな、仲良くなれそうだ」
トントン、と壁を確かめるように叩いてみた時だった。
―ひゅう、
大きく外で風を切る音。
突然の大きな音に驚いて、思わず小さな開き窓の外に顔を向ける。
視線の先には太い樹に寄りかかるような、人影。
ハッキリとした顔は見えないけど、目が合って微笑まれた気がした。
「なぁ、オレら以外にだれかいる」
後ろで何を始める気だったのか、座り込んでじゃんけんをしていた二人に振り返り声を掛けた。
手にパーを出す健斗と、チョキを出す隆明はその手のまま首を傾げる。
「そりゃ、おれら以外にここで遊ぶやつもいるだろ」
「そ~だよ?おれたちの秘密基地にはなったけどお城なわけじゃないからねぇ~」
変な奴、と言いたげな健斗に、へらっと当然のように笑う隆明。
言われることはもっともである。確かにその通りではあるんだが、何かそういったものではない奥底からくる不思議な感覚が気になってしまう。
「いや、まぁそうなんだけどさ。ちょっと見てきていい?」
「なんだよそれ~」
「仕方ねぇな、つきあってやんよ!」
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