第1章 出逢い

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「うわっ!」 突然知らない声に話しかけられたものだから、驚いて大きく肩が揺れたのが分かる。 思わず隣の健斗と隆明2人を見たが、同じように驚いて健斗は目を見開いて固まっているし、隆明は尻餅をついてしまっていた。 「…ごめん、びっくりさせちゃったかな。」 申し訳なさそうに眉を下げ小さな階段下にいた、声の主に目をやる。 陽の光が当たると紺色がかる濃厚な黒色のマッシュヘアに、吸い込まれそうな大きく丸い瞳。 濃い色の髪に反する雪のように白い肌。 背はオレらより同じか、少しだけ低そうだ。 「あ、いや、うん…大丈夫」 「そう、よかった…」 普段見慣れない雰囲気の声の主に、一瞬吸い込まれそうになった意識を払い首を左右に振る。 ゆっくり階段を上がって、尻餅をついたままの隆明に手を差し伸べる声の主に、恥ずかしそうに隆明が立ち上がった。 ぐるりとオレらの顔を見て再度問いかけるように首を傾げる姿に、3人で自然と姿勢を正す。 「おれは、たかあきって言うんだ~!」 「おれ、けんと。2人にここ楽しそうだから教えたんだぜ」 「はじめまして、オレはみなと。よろしく」 隆明が握手の為手を出したのに合わせて1人1人手を差し出していく。 差し出された掌に、最初は驚いて3人の顔を見るが、すぐに表情を緩めて手を握り返してきてくれた。 「はじめまして、ぼくははるか。よろしくね」 握手した手を後ろ手に組み直し、柔らかく笑う表情に見覚えがあった。 つい先ほど、あの小さい開き窓から見た子だ。 「えっと…キミ、さっきここにいた?」 .
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