0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
僕もそんなお爺さんは大好きだった。
お爺さんは僕に魔法をかける前に、いつも雪を降らせる。
僕たちの正体がばれないように……
僕たちは煙突から忍び込む。
子供たちを起こさないように、大人たちに気づかれないように。
煙突は、叔父さんがかける魔法。
その魔法があれば、どんな家にだって忍び込むことができる。
「残念なのはプレゼントに喜ぶ人達の顔が見れないこと」
だど、お爺さんはいつも言っている
「喜ぶ顔は見る事ができなくても、喜ぶ顔を想像する事はできる」
でも、お爺さんは少し寂しそう。
僕はきっと幸せだったんだと思う。
クリスマスには、こうやってプレゼントを運んで喜ぶ顔を想像して、煙突以外からも空からそっとプレゼントする事ができる。
【メリークリスマス】
しあわせの魔法を……
物だけがしあわせなものではない……
お金だけがしあわせになる理由ではない……
僕はそれをお爺さんから教えてもらった。
僕はそれをお爺さんから学んだ……
ずっと続くと思っていた幸せ……
だけど、しあわせって続かないから【しあわせ】って言うんだろう……
でも、ある日。
お爺さんは病気になった。
ずっと寝たきりになった……
一年、二年、三年……
最初のコメントを投稿しよう!