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サンタとトナカイ
雪は降る。
雪が降れば思い出すソリを乗せて、お爺さんを乗せて。
僕たちを待っている子供達の元へ……
【メリークリスマス】
お爺さんがそう言うと、僕の仕事が始まる。
僕はお爺さんを乗せると、勢いよく空を翔る。
【メリークリスマス】
それは、お爺さんがかける魔法の呪文。
その言葉だけで、幸せになる事ができる魔法。
それは、僕が空を飛ぶ準備の合図。
お爺さんは袋いっぱいに荷物を乗せて
お腹をすかせた人たちには暖かいスープを。
不幸な人たちに小さなしあわせを。
優しい人供たちには心地良いメロディーを。
お爺さんはプレゼントを渡していった。
時にはおもちゃを、時には出逢いを、時には服を、心優しき人へプレゼント
意地悪な子には思いやりを、我侭な子には人を思いやれる心を。
心を閉ざした子には前向きになれる心を。
そんな出会いと経験を。
お爺さんはいつも言っていた。
【誰にだって幸せになる権利はある】
ときには泥棒へ。
ときには詐欺師へ。
ときには人殺しさえも。
罪を償おうとする人にはしあわせを与えていった。
罪を償おうとしない人にもきっかけを与えていった。
だから、お爺さんを嫌う人なんていなかった。
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