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若くして将来を嘱望される東とは違い、僕は何の取り柄も無い地味男子。
やっと話せるようになって舞い上がっていたけど、僕なんかよりカッコいい人と知り合って、その人の好みに合わせようとしているのかもしれない。
「よく考えなくても東と僕じゃ釣り合わないよな。僕、村田みたいに背も高くないし」
「まーたお前はそうやって…あ」
呆れる村田が言葉を切って指差した。
「あれ東さんじゃん。隣にいる奴、彼氏じゃね?」
「ええ!?」
窓枠を掴み身を乗り出す。
雪を被った桜並木の間に立つ、華奢な人影。隣には…誰もいない。
「ウッソー」
「は?何だ…」
脱力していると背中を叩かれた。
「気になるなら直接聞いちゃえよ」
再度見下ろすと、東も僕に気付いたらしかった。こちらを見上げてから、またカメラを構え直している。
「…助言ありがと」
覚悟を決めて教室を出た。
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