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お、お前が言うか? と喉まで出かかったが、確かに今は、大声を出すのはまずい状況である事は本能的にも理解出来たので、何とか自分を落着かせ、まずは自分が今どういう立場に置かれているのか、理解する事に努めた。
「で、結局あなたは何者なんですか?」
頭の中で思考を巡らせた挙句、最も適切だと思われる質問が浮かんだので、目の前の人物にぶつけた。
「いやですよお客さん。あたしゃしがない郵便配達員ですよぉ。超銀河郵便連盟の」
「は?」
なぜか照れ臭そうに答えた彼女に対して、僕はこう言い返す事しか出来なかった。そして暫くの間、彼女が僕に向かって何かしゃべっているのを、上の空でただ聞いていた。
「あのですね。宜しければさっさと受け取って貰えると有難いんですが」
彼女は何か小さくて薄い、今まで見た事も無い物体を僕に差し出した。
「これ何ですか?」
僕は至極当然の質問をしたつもりだった。
「見て分かりませんか? お手紙ですよ、お・て・が・み。それ以上でも以下でもなく」
彼女は、そんな事知ってて当然だと言わんばかりに答えた。
『開いた口が塞がらない』という諺は、今まさに、この時の為にあるんだと全身で感じながら、僕は次に言うべき言葉を探した。
「受け取りの……はんこかサイン必要なんですか?」
これが今の状況で、どれだけ適切な言葉かは分かったものじゃないが、とりあえず言ってみた。
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